『 味を描く 』

 京平さんと麻布で食事してきた。
「白菜の茶碗蒸し」がでて、おいしかった。
 
 舌は肥えてるけど、調理にはとんとうといんで、白菜って、茶碗蒸しによく使われる材料かどうかは知らない。
 
 素人目には、白菜は「くさみ」が強い先入観があるが、口に入れると、さっぱりとしていて味も落ち着いて上品だった。
 
 その店の定番の「あわびの味噌でからめた茶そば」のあと、鯛めしがでて、最後のデザートはオレンジのソースをかけた「苺の天ぷら」
 
 これも意外な食材の組み合わせ。
  
 
 京平さん、いつになく上機嫌で、終始なごやか。  
 正月には孫にいじめられていたらしい。もう5歳だって。
 
 話は変わって、昨夜の「大長今」は「味を描く」だったらしい。
 
 このドラマ、DVDで一気に見終わってから、半年ほど時がたったんで、細部の記憶が薄れかけているんだけど、「味を描く」というフレーズは、今でも心にグサッと突き刺さっている。


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 そうか1969年の頃のぼくにも、これと似たような才能があったのかもしれない。と、チャングムを見ながら考えこんだ。
 
 「ロック」と「日本語」という、溶け合いそうもない異なった二つの食材。
 
 英語でやろうというメンバーを霞町の中華料理屋で説得していた夜、ぼくの脳裏は、たしかに「音を描いて」いた。
 
 おそらく神様がぼくに与えてくれたのは、詞を書く能力そのものよりも、作る前に完成形を「描く」その才能だったんだ。
 
 しかしこの脚本家はすごいね。まだ30代の女性なのに、こんな深いことを知っていて、ハン尚官に言わせている。

松本隆  |   2005年01月14日  

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