風街俺図鑑 第3回ゲスト:中川翔子さん


 その日、風待茶房は異様な熱気に包まれていました! 松本隆ファンが松本作品を選曲して語り尽くす企画「風街俺図鑑」の第3回ゲストとして、人気アイドル・中川翔子ちゃんに来ていただいたのです!



 翔子ちゃん(=しょこたん)といえば、月間アクセス数700万に昇る人気ブログ「しょこたん・ぶろぐ」の作者であり、超人的な画力を持つイラストレーターであり、松田聖子、ブルース・リー、アニメ、ゲームなどに深い知識を持つ新世紀アイドルであります。実は、風待レコードが誇る看板ロックバンド、キャプテンストライダムと2年前にテレビで共演したこともあり、風待茶房とは不思議なご縁があります。「いつかしょこたんに会うぞ!」と虎視眈々と狙っていた茶房スタッフの熱き思いが実り、今回は「聖子ちゃんスペシャル」として松田聖子さんの曲について熱く熱く語っていただきました!

風街俺図鑑 〜永遠の乙女曲編 Selected by Shoko Nakagawa

インタビュー 風待茶房 / 文・構成 水島己
撮影&俺図鑑イメージジャケット batayam


風街俺図鑑 〜永遠の乙女曲編
Selected by Shoko Nakagawa


1. 黄色いカーディガン / 松田聖子
2. Canary / 松田聖子
3. 瞳はダイアモンド / 松田聖子
4. 雨のコニー・アイランド / 松田聖子
5. わがままな片想い / 松田聖子
6. Romance / 松田聖子
7. マドラス・チェックの恋人 / 松田聖子
8. 愛されたいの / 松田聖子
9. 流星ナイト / 松田聖子
10. 雨のリゾート / 松田聖子
11. レモネードの夏 / 松田聖子
12. 一千一秒物語 / 松田聖子
13. 蒼いフォトグラフ / 松田聖子

聖子さんとの運命的な出会い

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翔子ちゃんはどういうきっかけで松田聖子さんを聴くようになったんですか?

翔子

最初はベスト盤の『Bible』(1991)ですね。

−−

『Bible』のジャケットをご覧になって、神の啓示みたいなのがあったんでしょうか?

翔子

ジャケットと曲目を見て、「これはいずれ聴くべき運命だったんだろうな」と思って買ったんです。ふふふ。

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いくつくらいの時ですか?

翔子

中学2年とか、それくらいの時ですね。それでもう『Bible』ばっかり聴くようになって、それからずっと松田聖子さんしか聴かなくなりました。5年ぐらいずっと毎日!

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ご、5年!?

翔子

本当に(笑)。『Bible』のあとは、「CD選書」ってシリーズがあることを発見したので、おこづかいを全部それにあてて、集めました。ウワ〜ッて、どんどんはまりましたね。歌詞もメロディーも声も絶妙過ぎて、聴いていて飽きないんですよね。最近流行りのラップとかを聴いても嫌になってしまうくらい、どうしても聖子さんばっかり聴いてしまって。それから80年代の音楽が好きになりました。

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まさに聖子さんが入口になったわけですね。

翔子

もう、はまる運命だったんじゃないかっていうくらい。

−−

『Bible』は3種類出てますけど、その中のどれですか?

翔子

最初に買ったのが1つめの『Bible』です。それから(オリジナルアルバムを)買いあさったんですけど、やっぱり好きなのはこの『Strawberry Time』(1987)までぐらいですね。松本さんの詞じゃないとダメなんだって、ここで分かりました。

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『Strawberry Time』と『Citron』(1988)の間に、今はもう絶版になっちゃってるんですけど、

『Snow Garden』(1987)っていう冬の企画アルバムがあったのはご存知ですか?A面が新曲で、B面が隠れた冬の名作ベストになってるんですけど、このA面の4曲がまたすごくいいんですよ。

翔子

へぇ〜!

−−

『SUPREME』(1986)とか『Strawberry Time』の延長にあるようなイメージの曲ですね。

翔子

じゃ、聴かなきゃいけないのに……何をしているんだ私は! 探します!

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差し上げますよ。

翔子

いや〜、そんなそんな!

−−

『Snow Garden』は残念ながら「CD選書」になってないんですよね。

翔子

なってないですよね。今売っているものしか集められなかったんで……。(聖子さんのディスコグラフィを見ながら)

『Seiko・Avenue』(1984)とか

『金色のリボン』(1982)とか、良さげなものがありますね。「恋人はサンタクロース」(『金色のリボン』収録)も聴いたこと無いですね。

−−

これはユーミンのカバーですよね。聖子さんが80年代に他のアーティストのオリジナル作品を録音したのはこれが唯一です。

翔子

すごい聴いてみたいと思っていたんですけど、手に入らなくて悔しいですね。「CD選書」もバラバラに売ってるから集めるのもちょっと大変だったんです。でもずっと何度聴いても飽きなくって。

−−

アルバムで言うとどれが特にお好きなんですか?

翔子

『Touch Me, Seiko』(1984)が1、2位を争うぐらい大好きなんです! 全部最高じゃないですか。はずせる曲がない!

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シングルのB面曲だけで構成されたベスト盤ですね。実は2年前に、テレビのキャプテンストライダムの取材にレポーターとして翔子ちゃんに来ていただいた時も、聖子さんの話で盛り上がって。キャプテンストライダムって、その時はまだ誰も知らないバンドだったんだけど、「松本隆さんの作ったレーベル」っていうプロフィールを見て「神だ!!」って言ってましたよね(笑)。

翔子

神ですよ! 神!!!! だって、「松本さんの詞でこんなにも生活が変わるのか!」と思って、本当にずっと毎日聴かなきゃいけない状態で生きてて、聖子さん中毒でいたので。

−−

その時、『Touch Me, Seiko』がすごく好きだって話してたのを覚えてます。

翔子

ありがとうございます!

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当時聖子さんって、オリジナルアルバムを年に2枚だして、シングル4枚出して、その他にベストアルバムや企画アルバムを2枚とか出していたんですよ。それでそのベストにしか入っていない録り下ろしの新曲が入ってたりするんで、翔子ちゃんのように「CD選書」で聴かれていると、残念ながら聴けない曲があるんです。聖子さんの場合、オリジナルアルバムしか「CD選書」になっていないですからね。

翔子

「夏服のイヴ」(「時間の国のアリス」c/w(1984))とか

「とんがり屋根の花屋さん」(『SEIKO・TOWN』(1984)収録)とか知らないんですよ。

「Pearl-White Eve」(1987)も知らないし。調べると絶対「名曲」書いてあるから悔しいんですよ。

−−

シングル「Pearl-White Eve」のB面の「凍った息」っていうのも、すごくいいですよ。

翔子

へぇ〜! いいな〜! 聴いてみたい!

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それでは早速、選んでいただいた10曲について話していただけますか。

翔子

はい! 洩れた曲もすごい好きなのばっかりなんですけど(笑)。


1.黄色いカーディガン
(作曲:細野晴臣 編曲:大村雅朗 発売:1982/11/10 アルバム『Candy』収録)

翔子

不動の1位が「黄色いカーディガン」です! この曲、何千回聴いたかわからないくらい好きです! これは歌詞と聖子さんの声とが500点満点って感じ。もう、これが理想の恋だなって感じですね。《そうよ あなたひとりだけが王子様よ》っていうところとか、すごいほのぼのとしていて。「汽車ぽっぽ〜」って感じのお花畑の所に、手作りのクッキー焼いちゃって、彼がひざ枕して…、そういうほのぼのしているところが、本当にキュンってなります。これはメロディーも歌詞も声も一番好きな歌で、聖子さんのお気に入り曲を集めてMDをいっぱい作ってたんですけど、この曲は絶対入ってますね。他の歌手のアルバムをいれたMDにも何故か「黄色いカーディガン」だけは絶対入れてたり(笑)。

−−

(笑)。

翔子

もう、これぞ80年代!っていう感じですよね。日本の80年代初頭の音楽とか文化とかが大好きなんですけど、今こんなストレートな可愛らしい女の子の恋の歌なんて聴けないですよね。

−−

それを歌える人も、なかなかいないですよね。

翔子

なんでこんな声の人が他に出てこないんだろう?、って思います。

−−

『Candy』(1982)は楽曲提供に細野晴臣さんが初めて参加した記念すべきアルバムなんです。「ブルージュの鐘」と「黄色いカーディガン」の2曲を書かれてます。

翔子

「ブルージュの鐘」もいい!!

−−

その後、翌年のシングル「天国のキッス」(1983)に繋がっていくんですね。

翔子

「天国のキッス」も最高ですね〜! あぁ、もう天才だわ! 

−−

(笑)。

翔子

もう、「黄色いカーディガン」は可愛過ぎるっ! 言葉がうまく見つからないくらい、もう言い表せないくらい好きなんです。全部ツボなんですよね。

−−

歌い出しのところがすごい情景が目に浮かぶような歌詞ですよね。

翔子

ね〜。野原でクッキーでランチタイムして汽車が走っているなんて、「なんだそりゃ〜!」って感じですよね。黄色いカーディガンとか、今着ないですもんね。素敵〜! 本当にピュアで、「日本の邦楽はここまでのクオリティーがあったのか!」って感じさせられますね。この80年代に青春を生きたかったって、この曲聴いて思いましたもん。

−−

この曲はまだ翔子ちゃんが生まれる前ですよね。

翔子

そうですね。80年代に青春を過ごした皆様がすごいうらやましいです。マネージャーさんがOKすれば、今すぐにでも聖子さんカットしたいですもん。

−−

ははは。現代に復活させたいですね(笑)。

翔子

朝、セットするのに二時間は早く起きないといけないですよね。「黄色いカーディガン」の頃は、何度聴いても飽きないんですよ、理想過ぎて。声もまたすごい甘い声ですよね、この時。ツヤがあって、甘いシュガーボイスが絶好調に。

−−

確かに絶好調ですよね。

翔子

でも、髪型見るとすごいボンバーな……。

−−

ボンバー……(笑)

翔子

ふふふ。

−−

実は『Candy』は、初回プレスの何十万枚分かだけ、「ブルージュの鐘」のボーカルテイクが全然違うんですよ。

翔子

え〜っ! なにそれ〜!

−−

「CD選書」に入っているバージョンと、当時のLPの初回プレス盤を聞き比べてみると、歌い方が全然違う。

翔子

どうしてですか!?

−−

不思議ですよね。聖子さんの歌い方には、『風立ちぬ』の頃のようなストレートに太い歌い方と、『Candy』のような、すごくコケティッシュな歌い方とがありますよね。

翔子

甘く歌ってますよね。

−−

でも、「ブルージュの鐘」の元のバージョンは、すごいストレートな歌い方をしているんです。

翔子

え〜っ! 聴きた〜い!! そんな、後からマニアになった人泣かせなことしやがって〜! ずるいぞ!って感じですよね(笑)。


2.Canary
(作曲:Seiko 編曲:大村雅朗 発売:1983/12/10 アルバム『Canary』収録)

翔子

 「Canary」は、すごく切なくなっちゃう、このサビがポイントですね。《歌い続けている青い小鳥のように 命のある限り あなたを忘れないわ》。しかも聖子さんご自身が作曲してますよね。

−−

そうですね。『Canary』はジャケットが大人っぽいですよね。

翔子

そう! ジャケットの顔はこれが一番可愛いと思うんですよ。

−−

この口がちょっと半開きなところがたまらんですよね(笑)。

翔子

そうですよね〜。

−−

何故か当時、全部半開き。

翔子

また帯のコピーも最高ですよね。

−−

「自由な光をあびて、いま鼓動はあなたへSINGING・・・聖子」(笑)。

翔子

そういえば何故か『Canary』は曲名が全部英語なんですよね、何でだろう? 「蒼いフォトグラフ」は「Photograph of Yesterday」だし。

−−

松本さんがそう決められたみたいですね。コーラスも全部英語だったんじゃないかな? アルバム全体に大人っぽい曲が多いですよね。

翔子

大人っぽくて、なんかちょっと薄暗い感じの曲が多いですね。「Silvery Moonlight」とかもそう。1曲目の「BITTER SWEET LOLLIPOPS」はすごいノリノリだけど、他はちょっと悲しめな曲が多いですよね。

−−

「Misty」なんかもそうですね。

翔子

そう、色っぽい感じですね。「Silvery Moonlight」の《Ah これ以上近寄らないで 離れて/Ah 消さないで部屋の灯りを》ってところで大人になっちゃって、(翌年のアルバム『Windy Shadow』(1984)収録の)「マンハッタンでブレックファースト」につながるってことですか?(笑)

−−

ははは。「マンハッタンでブレックファースト」は、《目覚めると横に見知らぬ寝顔が/あなたは誰? 覚えてない》って歌詞でしたよね。

翔子

そうそう。「ま、いっか。ママは泣くけど…、よくある話じゃん?」みたいな(笑)。「ええ〜っ!?」って(笑)。

−−

ちょっとやさぐれたちゃった(笑)。

翔子

その後、「あんたもトースト食う?」みたいな(笑)。ショックだな〜。翔子、ショックです……。

−−

(爆笑)。

翔子

聖子さん、この曲で大人になっちゃったんだ……(笑)。

−−

ちなみにこのアルバムの前に、シングル「SWEET MEMORIES」が大ヒットするんですよね。

翔子

おぉ〜っ!

−−

聖子さんの歌のイメージが「ずいぶん大人っぽい歌を歌うようになったな」、という風に変わった直後のアルバムかもしれません。そういえば、「SWEET MEMORIES」は元々シングル「ガラスの林檎」(1983)のB面だったんですよね。でもサントリーのお酒のCMで使われた反響が凄く大きくて、A/B面を逆にして、新しいジャケットで再発されたんです。

翔子

そうなんですか! 知らなかったです。

−−

今回、翔子ちゃんがシングルのB面曲をたくさん選んでいるっていうことは、B面にいい曲がたくさんあるっていう聖子さんの特徴を象徴してると思うんです。

翔子

そうですよね。ひねくれてB面ばっかり選んでいるってことでは全然ないんですよ。お気に入りの曲のMDとかを作る時、絶対入るのはこの曲達だったというだけなんです。

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ちなみに「ガラスの林檎/SWEET MEMORIES」は、「ガラスの林檎」が1位を獲得した数週間後に「SWEET MEMORIES」がA面扱いになって再び1位に返り咲いたという、すごい記録を作ったシングルなんです。

翔子

でも、「ガラスの林檎」も名曲ですけどね。「好き過ぎて指噛んじゃうのよ〜!」って歌詞が好きです(笑)。壊れそうな繊細な乙女の強い愛情っていう感じ。でも、たしかに「SWEET MEMORIES」は神曲(かみきょく)ですよね!!


3.瞳はダイアモンド
(作曲:呉田軽穂 編曲:松任谷正隆 発売:1983/10/28 シングル「瞳はダイアモンド」)

翔子

この曲はなんと言っても、歌詞の絶妙さですね。《映画色の街》って入り方がまずすごい! 《映画色の街》っていう発想がどうして浮かぶの?って、ずっと2時間くらい考えちゃったくらいなんです。

−−

深いですね。

翔子

それに《あなたの傘から飛びだしたシグナル》。あんな絶妙なニュアンスをどうしてこういう言葉に置き換えられるんだろう?って思います。松本マジックですよね!

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聖子ファンの中では、あの《あなたの傘から飛びだしたシグナル背中に感じた/追いかけてくれる優しさも無い》っていうのは、「一体どういう意味だ!?」って、論争をになったりもしました。

翔子

「聖子さんが走っていったとき、以前の彼だったら追いかけてくれたのに、どうでもよさげな態度を感じちゃった」的な……。まず失恋の歌を作ろうとして、そのニュアンスが浮かばないじゃないですか。さらにその感じを言葉にしちゃったところがすごい!

−−

サビでは、雨を矢に見たてた、《幾千粒の雨の矢たち》という表現が美しいですね。

翔子

あまりに悲しくて泣きながら空を見上げて、「もっと強いんだから泣いちゃダメよ」って……あぁ、もう悲しいですね〜! 母も私もシングルではこの歌が一番好きで、カラオケに行ったら絶対歌います。歌うとちょっと悲しくなっちゃいますよね。

−−

でもすごく綺麗な歌詞ですよね。

翔子

失恋したら絶対これは聴かないといけないですよね。余計死にたくなる(笑)。

−−

やばい、やばい(笑)。

翔子

でも結局、「ダイアモンドのように私は芯が強い女なんだから泣いちゃダメよ!」って言ってるけど、泣いちゃうんですよね。締めは《でもあふれて止まらぬ 涙はダイアモンド》……いやぁ、神です! これは!!!!

−−

これは、時期的には「SWEET MEMORIES」が1位になったすぐ直後ですね。

翔子

このあたりのシングルは神ですね! もう止まらないですね!!!!

−−

たしか「SWEET MEMORIES/ガラスの林檎」が1位に返り咲いた次の週に、「瞳はダイアモンド」が初登場1位で、2位に「SWEET MEMORIES」。

翔子

すご〜っ!!!!

−−

聖子さんの曲が連続1位。そして、ワン・ツー・フィニッシュ。

翔子

そりゃそうだわ、これ。「瞳はダイアモンド」は聖子さんの失恋ソングの中ではやっぱり1番ですね。

−−

そういえば今回の翔子ちゃんのセレクションの中では、ユーミンの曲が多いですね。

翔子

あ、本当ですか?

−−

ユーミンの乙女サウンドがお好きなんでしょうか。

翔子

私、恋愛が良く分からなかったり、人を好きになったら滅茶苦茶緊張しちゃって話せなくて、でも一回好きになるとずっと大好きで……とか、そういう恋に恋しちゃう感じなんです(笑)。だからこういう思いっきりストレートな乙女サウンドを聴くのが好きなんですよね。


4.雨のコニー・アイランド
(作曲:大沢誉志幸 編曲:佐藤準 発売:1986/6/1 アルバム『SUPREME』収録)

翔子

 『Canary』の頃の聖子さんの声も好きなんですけど、『SUPREME』での声も好きなんですよ。わざと甘くブリブリっと歌ってるのかもしれないです。この曲はやたら好きなんです。

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お腹にSAYAKAちゃんがいる時のレコーディングのアルバムですね。

翔子

そうなんですね。でも、なんでこの曲がこんな好きなのか分からないんですよ。「遊びの恋」っていう歌ですよね。

−−

このアルバムの中で一番女の子っぽいかもしれません。

翔子

でも《遊びだと約束したね》って、不倫の恋じゃないですか〜! すれちゃったなぁ、って感じなんだけど、歌い方はピュアなんですよ。だから「純粋な聖子ちゃんが好きだったのに……」っていう気持ちはあるんですけど、なぜかこの曲は大好きで。

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ひと夏の遊びで付き合って、という感じでしょうか。

翔子

遊びだと約束した前提で付き合って、フラれて……でも、好きになっちゃったから、「自分が悪いよね」って。「そんな……悲しいよ! 聖子ちゃん!!!!」って思います。

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《最後のデートなら明るく決めたいわ/無理して微笑えば空から降るのよ涙》って悲しいですね。雨の遊園地っていうのもまた切ない。

翔子

《水色の海辺を肩寄せて歩いた》って歌いだしが、情景が浮かびますよね。でも《これ以上あなたとつきあっていたなら/傷つくだけだわ だからサヨナラにしましょう》……うわ〜っ!何? このすれちゃった関係!!!!

−−

でも女の子はあくまでピュアで、男の方が遊び人っていう感じもしますね。

翔子

この曲はやっぱり歌声が好きなんですね。絶妙に甘くて透き通っていて。

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ちょっとささやく感じですよね。

翔子

できればこういう恋はしたくないですね! ひどい! この男!!!! こんな男許せないな〜(笑)。でもこの歌は大好きです。


5.わがままな片想い
(作曲:細野晴臣 編曲:細野晴臣 発売:1983/4/27 シングル「天国のキッス」c/w)

翔子

この曲は可愛い〜! メロディーも歌詞も、すごく変わった曲ですよね、《ピ・ピ・ピ》とか言ってるし。

−−

これはシングル「天国のキッス」のB面ですね。

翔子

「天国のキッス」もちょっと変わった感じの曲で大好きなんですよ。あれ、何で入ってないんだ!? 入れたはずなのに!!!!

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ははは。A面/B面とも作曲と編曲をされた細野晴臣さんはいわば日本のテクノの神ですから。

翔子

だからちょっと変わった……でも、すごくキュートでポップな曲ですよね。こんな曲が作れたのはすごいなって思っちゃいます。

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アイドルの曲とは思えないくらいぶっ飛んだアレンジですよね。

翔子

そう! アレンジが「え〜っ!?」って感じですよね。でも、すごく「80年代!」って感じが出てる。

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聖子さんの曲の中でも、1、2位を争う変わった曲かもしれない(笑)。

翔子

そうですね! 『Touch Me, Seiko』では、「Romance」みたいにストレートでテニスコートな曲の後に、このピコピコが入ってて(笑)。

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 『Touch Me, Seiko』の中でも、この曲、完全に浮いてますね(笑)。

翔子

でもいい意味で浮いてますよね。すごく可愛くて大好きです! 気を引きたいからわざと声をかけないところとか。『Touch Me, Seiko』では、「蒼いフォトグラフ」でしんみりした直後に、この曲が来るのが面白いです。

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ははは。曲順は相当悩んだんじゃないかな。

翔子

(笑)。

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今はCDで聞くから、当時のA面/B面というのはあまり意識しないで聴くと思うんですけど、聖子さんのアルバムは、結構そういうところにもこだわって作られてますね。「A面/B面」って言い方じゃなくて、「パイナップルサイド/オレンジサイド」みたいな言い方をしていて面白いです。


6.Romance
(作曲:平井夏美 編曲:船山基紀 発売:1981/10/7 シングル「風立ちぬ」c/w)

翔子

「Romance」は、もう二度と戻れない学生時代……しかもとっても純な学生時代ですよね、これ。「わざとボールを放ったんだから気づいてよ!」みたいな。

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テニスコートで《気があるのねわざとボールを/あなたの方へ外して見せたの》、というところですね。

翔子

聖子さんの声と松本さんの詞って、すごくくっきり情景が浮かぶんですよね。「Romance」は昔の少女漫画を読んでるような感じですね。この曲も『Touch Me, Seiko』に入っていたんです。《あなたが好きだと言わせないで私に/だから先に打ち明けて》って……あ〜もう!!!!!!

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歌詞も全部完璧に覚えてるんですね!

翔子

本当に5年以上聖子さんしか聴いていないから、目をつぶって全部言えるくらい(笑)。「Romance」は、滅茶苦茶ストレートに「あなたが好きよ! 好きよ! 好きよ!」って感じだから、聴いていて気持ちいいですよね。歌い方もまだストレートな時期だったから、曲に合ってますよね。

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これは後に「瑠璃色の地球」を作曲される平井夏美さんが書かれた曲なんですけど、この曲は明るいですね。

翔子

自分はまだ生まれてなかったくせに、「懐かしい!」って、切ない気持ちになれるんですよ。

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ははは。でも、松本さんが書いた聖子さんの曲って古くならないですよね。

翔子

古くならないですよね! 私、基本的には「松本さんの詞に出てくる女の子みたいな恋をしたい!」って、ずっと思ってるんです。ただ「マンハッタンでブレックファースト」みたいなのはちょっと……(笑)。「Romance」みたいに純粋に「あなたが好きよ」って真っ直ぐ誰かを愛する人になりたい、と思っていて。だから、元気になりたい時とかに、こういう真っ直ぐな恋の歌が聴きたくなりますね。


7.マドラス・チェックの恋人
(作曲:呉田軽穂 編曲:松任谷正隆 発売:1982/7/21 シングル「小麦色のマーメイド」c/w)

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これもB面の曲ですね。シングル「小麦色のマーメイド」(1982)のカップリングです。

翔子

本当だ! でも今思うと、これが入るなら「天国のキッス」とかも入れたかったかも(笑)。

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「マドラス・チェックの恋人」もユーミンの曲ですよね。聖子さんにおけるユーミン3部作ともいうべきシングル、「赤いスイートピー」、「渚のバルコニー」と続いて「小麦色のマーメイド」のB面がこの曲です。

翔子

2番の《心はマリン・ブルー/青い風が波を滑るの》……これが絶妙! 彼に会って「あ、なんだ遊び人じゃん!」って思ったから、番号を聞かれても「ふん!」って感じだったけど、やっぱり後で気になっても「あ、会えないのか……」っていう、切ない曲ですね。《心はマリン・ブルー/青い風が波を滑るの/心はマリン・ブルー/たぶん彼に二度と逢えない》……マリン・ブルーとか言っちゃうなんて〜!!!!!!

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ははは。

翔子

そういう感じ(笑)。すみません、日本語が下手で……。

−−

いやいや、すごく伝わりますよ。今の一言で(笑)。

翔子

要するに「やっぱり番号教えれば良かった……」っていう歌ですね(笑)。


8.愛されたいの
(作曲:財津和夫 編曲:大村雅朗 発売:1982/10/21 シングル「野ばらのエチュード」c/w)

翔子

「愛されたいの」って、可愛い曲ですね〜!

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これも「野ばらのエチュード」のB面ですね。B面は本当にいい曲ばっかりですよね。

翔子

だって、全部シングルA面でもおかしくないですもんね。もう、またいろいろ聴きたくなちゃった! ほぼ毎日聴いてるけど……。

−−

B面ベストを聴いていても、全部A面のクオリティーのベストですよね。

翔子

そうですよね!!!! 《夢の中の舗道は/落葉たちのパレット》《風が少し冷たい夜は/羽のまくらに/ひとつ ふたつ 涙の花を/咲かせて眠る》っていうところを聴くと、自分に重ねるんじゃなくて、歌っている女の子を抱きしめたくなっちゃう! 《寒いのよ 寒いのよ》って聴くと、「ああ〜! 寒いのか〜!」って(笑)。へへへ。伝わらないですよね。すみません…(笑)。

−−

すごい伝わりますよ。もう、ガンガン伝わります(笑)。

翔子

「愛されたいの」は、繊細な乙女が少し肌寒い季節になって、意味もなく切なくなっちゃって、「ああ、愛されたいわ、抱きしめてほしいわ」って思う気持ちや、なんとなく切なくなっちゃう感じを、可愛らしく繊細に絶妙に書いてます! 歌詞が天才!!!!!!

−−

歌詞が天才……(笑)。

翔子

すいません、言葉が足りなくて……。「愛されたいの」は本当に、抱きしめてしまいたい曲です。自分が男だったら、こんな子を好きだったら最高ですね。折れるまで抱きしめますよ。

−−

(爆笑)。

翔子

やっぱり「夏の扉」(1981)の女の子よりも、「愛されたいの」の子の方が抱きしめたい。

−−

 「フレッシュ! フレッシュ!」は元気な女の子という感じですからね。

翔子

 「お前一人で生きていけそうだ」みたいな(笑)。やっぱり「愛されたいの」の女の子は、「俺がいないと、この子はダメだ」って思っちゃいます。

−−

なるほど! 深いですね。

翔子

どうしてここまでイメージが広がるのか……、想像しちゃうんですよね。いい曲ですね!


9.流星ナイト
(作曲:財津和夫 編曲:鈴木茂 発売:1981/10/21 アルバム『風立ちぬ』収録)

−−

「流星ナイト」はアルバム『風立ちぬ』に入っている曲ですね。

翔子

キタ━━!!!! 大好き! 『風立ちぬ』は名盤ですよね〜。最初に『Bible』で聖子さんにはまった後、いろんなサイトを調べてたら、「初心者はまず『風立ちぬ』と『Pineapple』を聴け」って書いてあって。たしかに外れがない! 「いちご畑でつかまえて」とか「冬の妖精」とか「ガラスの入江」とか、全部いいですもんね。

−−

『風立ちぬ』のアルバムの中から、「流星ナイト」「雨のリゾート」「一千一秒物語」と3曲も選ばれてますよね。

翔子

好きです!!!! 「ザ・聖子さんワールド」って感じですもん。

−−

当時、世の中的にはシングル「赤いスイートピー」(1982)とか、アルバム『Pineapple』(1982)から女の子のファンが増えたって言われてました。でも実は『風立ちぬ』(1981)のアルバムを聴いてファンになった女の子がすごく増えていたと思うんです。

翔子

憧れますもんね。「あなたにあげるわ」とか「早く迎えに来て」って。それも「自転車で早く迎えに来て〜」って(笑)。

−−

ははは。

翔子

憧れちゃう。そうなりたい。聖子さんにはまった時期が、たしか15〜16歳だったんで、「あ〜、こんな感じになりたい!」って思いました。

−−

『風立ちぬ』は、まさに松本さんが全面的にアルバム制作に関わった最初の作品ですよね。

翔子

本当は『風立ちぬ』のアルバム全曲を選びたいぐらいなんですけど。

−−

やっぱり、アルバムで一枚選ぶとしたら『風立ちぬ』ですか?

翔子

『風立ちぬ』か『Canary』か『Pineapple』ですね。この3枚はすべてがツボだったって感じですね。キリがないですね〜!

−−

ははは。

翔子

「流星ナイト」は、《眠れないの 風の音が/胸のピアノかき鳴らしている/青い夜ね》って……何だその日本語は!!!! 絶妙です!!!! これは女の子の若さを描いてますね。「ウオォ〜!」みたいな(笑)。……文章に起こせないですよね(笑)。

−−

ははは。大丈夫です。「ウオォ〜!」って書きますから(笑)。

翔子

恋をして「今、好きなんだ!」みたいな、この激しい感情がよく分かります。それが「ああ、青い夜だ」って気づいて、ちょっと落ちつく感じ。本当に昔の少女漫画みたいですよね。

−−

松本さんって、少女漫画がすごくお好きなんですよね。萩尾望都さんとか、大島弓子さんとか、竹宮惠子さんとか。

翔子

そうか! そういう絵がぴったり! それだ!!!! それが言いたかったんですよね。

−−

『風立ちぬ』のアルバムって、大島弓子さんっぽいですよね。

翔子

そうですね〜。あの線の細い可愛い絵のイメージですね。とにかく、若さとピュアさとが、すごいオーラとなって出ている感じですよね。

−−

「いちご畑でつかまえて」(『風立ちぬ』収録)では、くしゃみとかしてますからね。「くしゅん!」って。

翔子

ね〜。しかも曲がフェードアウトで終わったかと思ったら、また戻ってきますからね。「え〜!?」って(笑)。また戻ってくるのは何の意味があったんだろう……。

−−

追いかけっこをしていて、遠くに行ったんだけど、また帰ってくるみたいな感じでしょうか(笑)。

翔子

そうか! 聖子さん可愛い〜!(笑)。

−−

《最初は逃げるものよ》って歌詞にもあるし(笑)。

翔子

可愛くってしょうがない!!!!


10.雨のリゾート
(作曲:杉真理 編曲:鈴木茂 発売:1981/10/21 アルバム『風立ぬ』収録)

翔子

この曲、歌詞の感じが「流星ナイト」に似てますよね。でも「流星ナイト」とは違って、こっちは完全に現実世界でデートしてて、彼のことがすごく大好きなんだなってことが伝わります。この歌い方もあるんでしょうけど、まず雨の日の独特の空気とか雰囲気が浮かぶんですよね。雨の日、車の中で隣に好きな人がいて、二人で黙っている時間さえも愛おしいっていうか……。最高ですね!

−−

今回、雨の歌が多いのも特徴ですね。「瞳はダイアモンド」、「雨のコニー・アイランド」ときてこの曲ですから。

翔子

雨の曲って失恋曲が多いけど、これはラブラブに恋しているから可愛くって。

−−

そうですよね。

翔子

雨ってあんまり好きじゃないし、悲しい時にはものすごく悲しくなるけど、恋をしてると雨もムードになるから……みたいな感じが良いですね。雨のイメージを何でこんなに変えられるんですかね。すごいですよね!

−−

でもちょっと、最後で《恋の雲ゆきがあやしくなる》んですよね。

翔子

ケンカしたのかな?

−−

最後は《もう帰ろうよ雨のリゾート》で終わります。意味深ですよね。

翔子

その前の《エンジン止めたら不意に/雨の音が心を打つの》で何かあったんですかね? ……あれ? やばい! いい感じだったのに!!(笑) 気になる終わり方ですよね。

−−

気になりますね。

翔子

そういえば、松本さんの歌詞って、「シュプール」とか「ディンギー」とか、よくわからない単語が出て来ますよね。最近知って、「良かった〜」って思ったんですけど(笑)。

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この曲に出てくる「ドリフト」って意味も、当時10代のファンの中には分からなかった人が多かったかもしれませんね。

翔子

他の曲でもわざとドリフトしていじわるする、っていう歌詞ありましたよね?

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「星空のドライブ」(アルバム『Candy』)だっけ?

翔子

《負けたわ あなたの 肩へと もたれて》。わざと乱暴な運転をするんですよね。「子供みたいな作戦ね」っていう。そういうのに、ものすごく憧れてたんですけど(笑)。「雨のリゾート」では、雨すらもいいアイテムになってしまうから、恋はすごいなって思いますね。聖子さんの曲の歌詞では、恋をいろんな角度から見られるんですね。


11.レモネードの夏 
(作曲:呉田軽穂 編曲:新川博 発売:1982/4/21 シングル「渚のバルコニー」c/w)

翔子

「レモネードの夏」も大好き!!!! 20歳になった今年の夏に、軽井沢に行った時にずっと聴いてたんです。

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そうなんですか。松本さんも20歳の時にずっと軽井沢に行かれていたみたいで、いっぱい思い出があるそうですよ。そういうところが、翔子ちゃんの軽井沢の思い出とオーバーラップしているんじゃないでしょうか? 「レモネードの夏」って絶対に軽井沢の歌だと思います。

翔子

そうですよね! 軽井沢でずっと聴いていて、自分にすごくぴったりだと思いました。《今は私も20才/自由に生きる事を憶えながら/一人で生きてる》って。

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おぉ、まさに! でも軽井沢ってことは、直接は歌詞には出てこないですよね?

翔子

《揺れる木洩れ陽を見たの》とか、軽井沢っぽい描写がありますよね。「貸自転車」とか、「コテージ」とか、「白いカフェー」とか(笑)。軽井沢プリンスホテルのコテージにぴったり。なんか、すごいぴったりだったんですよね。すごく情景が浮かびますね。ちょっとまだ真夏ではないけども、暑くて避暑地に来たんだけど、日差しも真っ直ぐに降り注いで、レモネードを飲んで……。いいわ〜、この乙女! 《冷えたレモネード/薄いスライスを/噛めばせつなさが走る》! ここ〜! 究極に絶妙な歌詞!

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松本さんの歌詞って、必ずハッとするような表現が入ってますよね。

翔子

この曲ではまさにここですね。

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聖子さんがカラッと歌っているのが、また切なさを倍増させるんですよね。

翔子

悲しい歌も、こうカラッと歌ってしまうと逆に切ないから、歌詞が引き立つんですよね。

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聴いていると、松本さんの詞がふっと……。

翔子

グサッときますよね。


12.一千一秒物語 
(作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内 発売:1981/10/21 アルバム『風立ちぬ』収録)

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「一千一秒物語」もアルバム『風立ちぬ』からの選曲ですね。

翔子

童話の世界みたいな詞ですよね。童話に出てくるすごく純粋な女の子。パーティー抜け出して、月が浮かぶ中で。《丘から見た町は銀河》とか。でも《あなたの煙草が眼にしみるわ》で、ちょっと現実的な表現が、急に入ってくるんですよね。

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この「一千一秒物語」っていうのは、「千夜一夜物語」にかけたタイトルなんでしょうか。そこからも少しファンタジックなイメージがしますね。

翔子

恋をよく知らない女の子が、恋をちょっと幻想的に見ていて、本当にドキドキしている感じがすっごい可愛いですよね〜! 童話みたい。


(ここで魔☆が突然登場! それに興奮を隠せない翔子ちゃん!)

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松本さん、お疲れさまです〜。こちら、中川翔子ちゃんです。

翔子

初めまして! 中川翔子と申します!

松本

松本です。

翔子

ウワ〜ッ!!!! お邪魔してます! 大好きです!!!! 本当に神様です!!!!!!

松本

いえいえ(笑)。僕がいたらしゃべりにくいんじゃない?

翔子

いや〜、死んじゃう! 死んじゃう!!!!!!

松本

じゃ、またね。

翔子

アワワワワ……!!!! だって、これを作った神様ですよ!!!!

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ははは。

翔子

どうしよう〜。何千回聴いたか……。一千一秒回聴きましたよ!!!!(笑) 「神降臨キタ━━(゚∀゚)━━!!」ですよね、まさに!!!!!!


13.蒼いフォトグラフ
(作曲:呉田軽穂 編曲:松任谷正隆 発売:1983/10/28 シングル「瞳はダイアモンド」c/w)

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では、気を取り直して続けましょう。最後は「蒼いフォトグラフ」ですね。

翔子

あ〜、もう大好きですね!

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これはシングル「瞳はダイアモンド」(1983)のB面曲ですよね。

翔子

たしかに。これは、中学生の頃に初めて聴いた時は「いい曲だなぁ」くらいだったんですけど、大人になるにつれて歌詞がグサッとくるようになった曲です。

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これ、ドラマの主題歌になった曲ですね。宮本輝さん原作の「青が散る」っていう大学生が主人公のドラマ。石黒賢さんと佐藤浩市さんと、二谷友里恵さんと川上麻衣子さんが出演されてました。

翔子

古いですね!

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みんな大学のキャンパスでテニス。

翔子

うわ〜! 石黒賢さんがテニスなんて(笑)。観てみたいですね。

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石黒さんがフラれて大泣きするシーンがありました(笑)。

翔子

ははは。この曲は、あるフレーズがビッとくるっていうより、すべての歌詞がすごく厳選された言葉で出来ているんですよね。《今一瞬あなたが好きよ/明日になればわからないわ》とか《みんな重い見えない荷物/肩の上に抱えてたわ/それでも何故か明るい顔して歩いてたっけ》とか《今の青さを失くさないでね》とか全部! これこそ神曲ですね!!!!

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全体に色と光がテーマになっている感じがしますね。

翔子

《いつも何かに傷ついてた/そんなとこ 二人共/よく似てたね》のところで、「うわ〜!」って思ってました。よくそんなことに気づきますよね〜。


神曲だらけの永遠のベスト

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今回の選曲は、曲順もイメージして並べたんですか?

翔子

最初の5曲くらいはポンポンポンって浮かんだんですよ。後はどれを入れようかっていうので悩みました。順番は考えてなかったかもしれない。

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CDにするとしたら、あと3曲くらい足せますよ(笑)。「天国のキッス」も入れておきます?

翔子

「天国のキッス」も入れたいけど、そうすると「雨のコニー・アイランド」とかと合わないかも(笑)。

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切ない曲だけを並べても面白いかもしれないですね。

翔子

そうですね。今回の選曲は、切ない曲か「思いっきり幸せ〜!」みたいな曲のどっちかですよね。「Silvery Moonlight」的なのは入ってないですからね(笑)。それから「ハートのイアリング」(1984)も入れたかったですね。

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翔子ちゃんは、悲しい曲でも強い女の子が描かれている曲が好きですね。

翔子

「悲しい中でも強いのよ」っていう女の子に憧れているからですかね。そうなりたいっていう願望があるからかもしれないです。特に「蒼いフォトグラフ」は悲しいですよ〜。特に悲しいことがない時に聴いても、悲しくなりますよね。「あぁ……」って、体育座りしたくなります(笑)。

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では最後に、このアルバムをどういう時に聴きたいか教えていただけますか?

翔子

えっ? 常に聴きたいんですけど(笑)。特に何度も聴いてきた曲達で、まだこれから先、何百回何千回聴いても飽きないだろうなと思います。ずっと聴いていても飽きてないので、永遠の曲ですね。神曲だらけなので。

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(笑)。

翔子

でも、「切なさ」を絶妙に表している曲ばっかりだから、フラれた時とかにいいんじゃないかな? 日本人は、みんなこれを聴かなきゃいけないと思います! 聴かない人は人生を50点くらい損します!!!!



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[Strawberrytime☆中川翔子オフィシャルHP]