• 風待コラム駅伝

「風待コラム駅伝」中継地点より(後編)

 前編に引き続き、「風待コラム駅伝」をダイジェストで振り返って参ります。今回は、第16回から第27回までを猛スピードでご紹介いたします。


コラム駅伝ならではのゲスト陣

 

 まずは前回と同じく、その回のテーマとなった曲に直接関わられた、「ご本人さま」ゲストを追ってみましょう。「ハートのイアリング」の佐野元春さんは、Holland Roseというa.k.a.ネーム誕生の素敵なエピソードを披露してくださいました。「ROMANCICが止まらない」の回では、元C-C-Bのりゅうこうじさんが、当時のレコーディングの状況を心情を交えつつ振り返ってくださっています。音楽プロデューサーの大平太一さんは「水中メガネ」の制作秘話を語ってくださり、それを歌ったアーティストChappieの“マネージャー”であるデザイン集団groovisionsの伊藤弘さんが、楽しい眼鏡エピソードを添えてくださいました。

 

 「さらばシベリア鉄道」では、太田裕美さんにご登場いただきました。(近々、デビュー35周年記念BOX『太田裕美オールソングスコレクション』が発売されるそうです。)そして、「ハイティーン・ブギ」では、再び魔☆が登場。ハイティーン時代の心の葛藤を克明に回想した、切なくも鋭く美しいエッセイです。

 

 「スローなブギにしてくれ(I Want You)」の回では、音楽家の小西康陽さんの、“松本隆論”が登場。コラム駅伝史上、最長の力作であり、意外と語られることの少ない“プロデューサーとしての松本隆”について、ひいては小西さんご自身の音楽愛が行間からあふれ出る名文であります。(先日発売された単行本、『ぼくは散歩と雑学が好きだった』も素晴らしい内容です。)

 

 風待茶房ゆかりのゲストといえば、初期の風待茶房で多くの名対談をまとめて下さった松久淳さん。「天国の〜」つながりの“ダジャレなオーダー”にも快く素敵な文章を寄せていただきました。そして、長らくレギュラーを務めてくれた永友聖也くんは、キャプテンストライダムが風待レコードから卒業するのと同時に、コラム駅伝の連載も終了。最後の「ローリング30」の回では、風待レコードとの歩みと未来への決意表明をしてくれたのが印象的です。いっぽう、LITTLE CREATURESの鈴木正人さんは、「ハイスクールララバイ」のユニークな考察を披露してくださいました。

 

 松本隆WORKSコンピレーションアルバム『風街少年』『風街少女』が発売されたのが、第25回「雨のウェンズデイ」のころ。編集部・水島のコラムではその“誕生秘話”が記してあります。そしてコンピレーションつながりでご登場いただいたのが、大の松本ファンを自認する構成作家の高須光聖さん。大滝詠一さんのアルバム『A LONG VACATION』に出会った若かりし頃の思い出を、リリカルに綴ってくださいました。同じく『風街少年』『風街少女』で選者を務めていただいた秀島史香さんには、「ハートのイアリング」の回で、ピアスを開けた10代の胸キュンエピソードを披露していただきました。さらに、「十二月の雨の日」をカヴァーされた、スピッツの草野マサムネさんは、東京の雨について、美しい文章を寄せてくださいました。

 

 意外なゲストとしては、「ポケットいっぱいの秘密」の安めぐみさん。そして、「ローリング30」というお題に果敢に挑んでいただいた、渡辺満里奈さん。この幅広い豪華ゲストのラインナップは、風待茶房ならではのものかもしれません。

 


ゲストコラムの新たな発見

 

 第18回からは少し構成を変えて、最初の走者は解説コラムを担当することになりました。歌謡曲の厳しい論客であるまこりんさん葛飾ホックニーさんにもご協力いただき、松本作品の魅力にずずっと斬り込んでいきました。このあたりの選曲は『風街少年』『風街少女』に入っているものも多いので、“裏”ライナーノーツとしても楽しめるかもしれません。

 

 ユニークな視点といえば、『絵はがきの時代』『浅草十二階―塔の眺めと“近代”のまなざし』などの著書で知られる細馬宏通さん。「ハイスクールララバイ」をひも解き、夢オチならぬ“眠りオチ”という新たな解釈を提示されています。いっぽうライターの渡辺克己さんは、「雨のウェンズデイ」の回で、“曜日歌”という切り口で選曲。「タイトルに曜日が付いた歌には切ないものが多い」という結論を導き出しました。そして脳科学者の原信子さんは、“マルコフモデル”なる予測方法で正確に女性を口説くコンピュータ(!)を思い描いてくださいました。

 

 コラム駅伝の前半では、イラストレーターの方の登場が多かったのですが、振り返ってみると後半は、フォトグラファーの方の参加が多かったように思います。「ローリング30」での笹原清明さん、「ROMANCICが止まらない」での藤原江理奈さん、「十二月の雨の日」のMAYA from West Endさん。どなたも文章もさることながら、美しい写真を添えてくださったのが印象的です。

 

 後半もまた、様々なミュージシャンの方々にご登場いただいております。「天国のキッス」の高森ゆうきさん、「十二月の雨の日」のアイコ(advantage Lucy)さん、「ROMANTICが止まらない」の伊藤利恵子(ROUND TABLE)さんなどです。

 

 『今日の買い物』シリーズなどの著作でも知られる名編集者の岡本仁さんには、「ハイティーンブギ」の回にて、若かりし頃になんとはっぴいえんどのカバーをしたという貴重な思い出を綴っていただきました。同じ回にご登場いただいた、「デイリーポータルZ」や『死ぬかと思った』シリーズで知られる編集者の林雄司さんは、ハイティーンという“ガス”にヤられた若者の姿をコミカルに描いていただきました。テレビゲームの分野からのゲストとして、『LocoRoco』(PSP)を作られた河野力さんが登場。世界的に評価の高いゲームを制作した、その心情が書かれた貴重なコラムです。

 


 さて、全速力のダイジェストで振り返った、「風待コラム駅伝」3年間の軌跡、いかがだったでしょうか。目をつぶると、走者のみなさんの激闘、様々な名シーンがよみがえってくるようです。これを機会に、読み返してみると、様々な発見があるかと思います。参加してくださった走者のみなさん、ご愛読いただいたみなさん、本当にありがとうございました。引き続き、風待茶房をよろしくお願いいたします!

 

(茶房編集部)

 



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「風待コラム駅伝」中継地点より (前編)

 

風待コラム駅伝のスタート

 

 疾走を続ける風待茶房の連載企画「風待コラム駅伝」。松本隆作詞作品からお題を拝借し、毎回6名の“ランナー”がコラムのたすきを手にリレーを繰り返してきました。2005年1月に「真冬物語」でスタートし、前回の「スローなブギにしてくれ(I Want You)」まで、ほぼ3年。27テーマ、のべ158人のランナーのみなさんにご参加いただきました。

 

 「風待コラム駅伝」は今回でいったん休憩させていただき、今週から2回に渡って、過去の大会を振り返ってみたいと思います。風待茶房ならではの豪華ゲストや、隠れた名コラムなど、このコーナーを普段読んでいただいているかたにも新しい発見があるかもしれません。

 

 1週目の今回は、第1回から第15回までを振り返ってみてみましょう。この企画がスタートした当初は、3人の風待茶房レギュラー陣(水島己、batayam、キャプテンストライダムのギター&ヴォーカルの永友聖也くん)と3名のゲスト、という構成でした。特に毎回、6人目の走者は、テーマになった曲に関わられた“ご本人さん”や、著名な方のスペシャルゲスト枠として注目されました。

 

豪華ゲストランナー

 

 「ご本人」が書いて下さったコラムとしては、「真冬物語」の畠山美由紀さん、「内心、Thank You」の久保田洋司さん(掲載当時、風待レコードのアーティスト・キャプテンストライダムの作詞も手がけられていました)、「冒険王」では南佳孝さん、「夏色のおもいで」の財津和夫さん、「眠りの森」のハナレグミ(永積タカシ)さんなどが挙げられます。

 

 また「風立ちぬ」の回では、魔☆と多くの作品をつくられたあがた森魚さんが、非常にシャープな考察を展開してくださいました。そして「七夕の夜、君に逢いたい」では、魔☆本人も登場。七夕からひも解く「悲恋」についてつれづれに書き下ろしてくれました。

 

 意外なゲストといえば、「卒業」のテリー伊藤さん。ご自身の思い出に重ねられた素敵なエピソードを披露されています。(ちなみにその直前に行われた、魔☆と斉藤由貴さんとの対談もあわせてご覧になるとさらに楽しめます。)それから、「おかえりなさい」の加藤あいさん。他では読むことの出来ない風待茶房ならではのラインナップと言えます。

 

 また、田島貴男さん曽我部恵一さん堀込高樹さんかせきさいだぁ≡さんYO-KINGさんハヤシヒロユキ(POLYSICS)さんなど、魔☆と共作/共演されたり魔☆の曲をカヴァーされたりなどの繋がりのあった、魔☆より若い世代のミュージシャンのみなさんにもご登場いただいております。その語り口は実に様々で個々の世界を持っており、ミュージシャンとしての才能の片鱗を伺うことが出来ます。

 

様々な分野からの参加

 

 音楽関係だけでなく、さまざまな分野でご活躍されているかたが参加されているのも、「コラム駅伝」の特徴です。隠れた名作といえば、渋谷直角さんのコラム。ご自身の失敗談をみごとテーマに絡めた内容で、茶房スタッフを爆笑に包みました。(渋谷さんは最近、『へっポコ!』というおもしろマンガを刊行されていて、そちらも必見です。)また、文章もさることながら、素晴らしいイラストを添えて下さった、はまのゆかさん田中未樹さん中野シズカさん小田島等さんのコラムはまさに、読んで、見て、2倍楽しめる内容でした。

 

 それから、テレビゲームのクリエイターの方々にも参加をお願いいたしました。『ICO』(PS2)や『ワンダと巨像』(PS2)を作った上田文人さん、『がんばれ森川くん2号』(PS)や『タシテン』(DS)などのユニークなゲームで知られる森川幸人さん、『塊魂』(PS2)を作った高橋慶太さん(現在、『のびのびBOY』(PS3)というこれまた変わったゲームを制作されています)。普段伺えない、ゲームの創作のヒミツを垣間みる気分でした。

 

 新世代のミュージシャンの方々にもご登場いただきました。水野良樹(いきものがかり)さんや、HARCOさんには、デビューの思い出や、レコーディングについて書いていただきました。そして、当時、風待レコードの看板アーティストとして、レギュラーで書いてくれたキャプテンストライダムの永友聖也くん。文学、妖怪、自然、宮崎など、彼の世界感が存分に発揮された、ユーモラスなコラムは、風待茶房の隠れ名物でありました。また、茶房スタッフでおなじみbatayam所属のバンド、CECILのヴォーカルゆきちさんにも、ユーモラスかつリズミカルなコラムを寄稿していただきました。

 

 魔☆の交遊関係からお願いしたのは、音楽関係にとどまらず、幅広い分野で活躍されている方々でした。スタイリストの中村のんさん(その後、対談のゲストでもご登場いただきました)は、大滝詠一さんの衣装を借りるためにものすごい「大冒険」をしたというお話。シェフの小林優子さんは、なんとピラニア釣りのお話。日本舞踊家で女優の尾上紫さんにもご登場いただいております。尾上さんは近々、「カフェのお客様」のゲストとしてもご登場いただく予定です。お楽しみに。


 
 ここで触れたコラムは全体の一部にすぎませんので、お茶でも飲みながら、ゆっくりお読みになることをおすすめいたします。きっと、なにか楽しい発見があると思います。後編は来週お届けいたします!

 

(茶房編集部)





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