• 第21回大会テーマ「ROMANTICが止まらない」

『遠いあの長い日を振返って』
執筆:りゅうこうじ




私も、もう44歳となり、そろそろ老眼が必要になる年齢になります。
ピンクのメガネも伊達メガネで、ピンクの髪にヘッドセットをつけてドラムヴォーカル。

今では興味も薄れて忘れられる頃、こうした機会を頂き心から感謝しています。
この際あの頃の自分の気持ちを正直に書いてみようと音を聞き記憶をたどりながら・・・、
少しずつ書きためたモノをまとめてみました。

「ココナッツボーイズ」(後のC-C-B)は和製ビーチボーイズを目指し、結成された。
私はこのバンドへ、ドラムよりも高音の裏声をかわれて参加する。

その声は不思議な声のようで、裏声の特徴が鼻に抜けてくるやさしい声だとすると、
私の場合は地声なのか裏声なのか?
境目がよくわからない強く鋭い声。
良く言うと声変わりをせずにきれいに真っすぐ澄んだ声。
まるで大人になったウイーン少年合唱団みたいなものだが、
それだけに歌が色気のないものに聞こえてくる。
良くも悪くも、自分にはまだメインで歌えるほど経験もテクニックもなかった。
ただバンドの基本であるリズムキープが一番の要のドラムを担当していたこともあり、
ドラムに負担がかかることを恐れてコーラス以外は歌う箇所を少なく出来た。

メインヴォーカルで年上の二人を中心に、コーラスバンドは作られた。
自分はどちらかと言うとバックメンバーに近い存在だったはずである。
当時のシングルジャケットは、とてもわかりやすくバンドの形をあらわしている。
立ち位置から髪の色、ヘアースタイル、個性、うり方までもが見えてくるようだ。
そして、誰もがボーカルを一番左端にいる私だとは思うはずもない。
あの時はまだ、曲も知らず自分が歌うことになることも知らずにいたのだから。

十代から卒業し二十歳に成り立てで、
プロのミュージシャンとしての自覚もどんなものか分からず、
周りからは「もっと勉強しろ、練習しろ」と言われていた毎日。
全てがまだまだ未熟で、ただ一生懸命で、心の中は
いつになれば認めてくれるのか? そんな日は来るのか?
と常に思い音楽を続けていた。

前のコラムの記事に、りゅうの歌の取り組みについて書かれていましたが、
まったくそのとうりでお恥ずかしいかぎりです(笑)。
レコーディング当日は今でも忘れません。
気持ちも弱腰に何を信じて歌えばいいのか?
孤独で誰もが敵に見えて・・・なぜ? わたしなのか?
なぜ? メインの二人ではいけないの?
被害妄想的な余裕のない自分に、
時間は人の気持ちを飽きさせ苛立たせるもので、たくさんの思いがあふれていました。

録音は二人(松本隆氏、筒美京平氏)の到着までに終わらせる予定で進められた。
それは私に対するプロデューサの配慮でもありました。
その何日かのリハーサルで精神的に弱さを見せ、
声につやがなくなることを恐れていたのです。

それまでのシングル2枚アルバム2枚のレコーディングの経験は何処かへ。
それ以上のプレッシャーが「色気のない歌はメインに向くはずもない」
と自分の心へ襲ってくる。
この曲で売れることがなければバンドは解散するだろう。
そして私はプロミュージシャンとしてやっていくことをあきらめる。
そんな危機感だけが最後の心の砦だったのです。

緊張の糸は限界へ、今にも死にそうなくらいに・・・。

全ては二人の結果待ちに。

きっと忘れていることでしょう。
ミキサールームごしに見える二人は、腕組みをして話をしている。
無音のスタジオで私は一人答えを待つ・・・そして・・・。

答えは・・・あっけらかんとした言葉で、
考えていたものとは大きく違い、私に勇気を持たせるものでした。
「いいよっ。自信持って歌って・・・」
その後は魔法にかけられたような心の落ち着きと安堵感の中で、
歌の大切な部分を歌いながら今までにたくさんの表現、心の葛藤に悩んでいたことが 嘘のように解けていきます。
ミキサールームで聞こえない声と表情が伝わってくる盛り上がりのおかげで、
私は訳もないうれしさと興奮に包まれました。

あの日この曲で二人の先生との出会いが、どれだけ自分に変化をもたらしたのかは
不思議なことに、その後の現実よりりゅうの心の奥底をも変えています。
そして多くのことを、バンドとしてりゅう個人としても学んでいくことになります。

音楽を続けていく上で大切な曲達があると言うことは、
ヒットした曲、代表曲を持つと言うことは、本当にありがたく幸せなことです。
そしてここが自分の原点といえるのもこの曲があったからです。
このコラムを書くにあたってとても長い時間をかけて
自分の心を見つめなおすことが出来きました。
そして原点に戻り音楽を続ける意味やすばらしさを
感じることが出来ました。

思いはいつしか変わってわからなくなることが私にはあります。
そんなときにこの曲は勇気をくれるのです。
自分を勇ましく大きくさせてくれるのです。
そんな曲を歌えるのは、りゅうにとって幸せなこと、大切なことです。
たとえC-C-Bとしては歌えなくても、聞きたいといってくれる方がいる限り、
りゅうは出来る限り大きな声で歌おうと思います。。

松本隆先生へ
今度お会いする時はまた笑顔でお会いしたいです。
書きたらないほど松本隆という雲の上の大作家に語りつくせない感謝があります。
それまで必ずお元気でいらっしてくださいねっ。


                      南阿蘇の山奥から  りゅうこうじ


執筆:りゅうこうじ(ミュージシャン)
2006年11月3日初のソロアルバム(ハイランダー)を発売。今年よりテレビ出演などでも活動再開!
http://www.total-produce.co.jp


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  • 第21回大会テーマ「ROMANTICが止まらない」

『その渦中』
執筆:藤原 江理奈




『ロマンチック』ということについて考えてみたら、私はあまり『ロマンチック』ということを意識したことがない、ということに気付いた。

でも、『ロマンチック』の意味する『甘美なさま』や『空想的』なことは毎日ひたひた、な程味わっている。

対象は空気の匂いや、美味しい食べ物が口の中で溶ける時や、数年振りくらいに消しゴムを使った感触や、仲良くなれそうだけどもう少しな人との微妙な距離感など様々ではあるけれど『甘美なさま』を感じないで終わる日はないし、空想にいたっては一日のうちかなりの時間を空想して、消えて、で費やしている。

いつもロマンチックの中にいる、ということなのかもしれない。



『渦中の人』というのはその多くがその状況を説明できないのではないかと思う。

自ら『その渦中』に飛び込んでいる場合は特にそこに疑問も持たないし、ただその中でどれだけ好きな様に動けるかのみ考えていると思う。

『渦』の外に出て初めて、そこにいたことを説明できるのではないか、という気がするのだ。



話は変わるが、私は家に居る時しょっちゅう『いまこの家の前を好きな人が通らないかな』と空想しては窓を開けて外を眺める。

私の家は大きな通りに面さてはいない普通の住宅街にあるが、実際その空想が現実になったことは10回くらいある。

私にとって『ロマンチック』はとても現実的なことで、いつまでも説明出来ないままでいたいことのひとつなのです。 



執筆:藤原 江理奈(フォトグラファー)
1998年写真新世紀、荒木賞受賞。2002年〜拠点を東京に移し様々な媒体で活動中。
机上旅行ばかりしていましたが、最近は実際に色々なところへ行けて楽しいです。


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  • 第21回大会テーマ「ROMANTICが止まらない」

『恋の面積を求めなさい』
執筆:batayam


 きっかけは単純なことだった。

 ハートと呼ばれるあの図形↓の面積を求めるにはどうすればいいんだろう…

 って思ったんだ。





 図書館で中学生用の数学の教科書を借りて見た。恋のことはひとつも載ってないけれど世界の美しさを知るきっかけがいくつか載っている。借りて見た教科書には載っていない「ハートの面積の求め方」もこれから出逢う世界の中で少しずつ解けるようになるのかもしれない。

 おとなになった今なら中学生のボクに教えてあげたいことがたくさんある。「花占い」をするのなら花びらの枚数が奇数か偶数か決まっていないマーガレットのような花を選ぶこと。旅をしながら考えるとき「答え」と同じくらい「答えを導き出すプロセス」が大切なこと。眼鏡をかけていても角度によってはキッスができること。


 キミの想い×ボクの想い÷2=

 今日も剰余を気にしつつ恋の数だけ恋をする。割り切れなくてとまらない恋の円周率の描く道を心の馬車は走るだろう。

 らいどおーん! 


執筆:batayam(ばたやん)
詩・文・絵・写真・デザインする人。/ 生きているから想うんだ、毎日に魔法をかけていこう。「風邪をひき己の拙さを知るのはどこか恋に似ている。」「旅を意識すると毎日がより鮮明になる。」真夜中の子供、ばたやんの宇宙への落書き。お寝しなにご賞味下さい。『毎日に魔法をかけていこう』
http://www.berry-records.com/


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  • 第21回大会テーマ「ROMANTICが止まらない」

『ロマンティックに行こう!』
執筆:伊藤 利恵子



音楽に触れる瞬間は、無意識と意識の狭間を行ったり来たり。
ガガガっと閃きで進んだり、あれこれ思索してみたり、そんな連続です。
幾重にもなったイメージが、形作られて行くのが面白いな〜って。
でも、いやがおうにも投影されちゃう、自分。
なんだか照れくさくもあります。

ライブやったりして人前に出てるんだから、照れることもないでしょうに。
なんて言われる事もあるんですけれど、いやいやそうでもないんです。

目指すは、心にしみる音色とフレーズ。
体とココロから発するエネルギーが、織り交ぜられて「音」になる。
先日観たイタリアのトランペッター、エンリコ・ラヴァ氏のライブの時も
そんな事を強く感じました。

叙情的で繊細、けれども力強く確信に満ちた音は本当に素晴らしかったです。

何かに感動したり、影響を受ける時の素直な気持ち。
新しいものを見つけた時の駆り立てられるような喜び。
情熱、明るさ、切なさ、暗い雰囲気、なごやかさ。。。
何か、一括りには出来ない様々なトーンに、無自覚にならないように。
ひとつひとつを大切にしていたいです。

なんて書いてたら、またもや照れくさくなってきました(笑)
憧れをもって好きな事を続けて、時には夢見がちになったり。
ロマンティックな気持ちはまだまだ止まりそうにありません。


執筆:伊藤 利恵子(ROUND TABLE [ Key/Vo ])
北川勝利(Vo,G)と伊藤利恵子の二人組。リリース、ライブの他に、楽曲提供、 プロデュースの活動も。月1くらいでライブやってます!ブログはほぼ毎日更新中〜☆

http://www.round-table.jp/


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  • 第21回大会テーマ「ROMANTICが止まらない」

『会食のゆくえ』
執筆:水島己



 相変わらず仕事で韓国と日本を行き来する生活が続いている。

 会社で連れて行かれる場末感ただようクラブ(というかスナック)みたいなところの女の子から、たまに電話がある。電話を取るなり、「ミズシマさん、もう食事した?」と言われるので、いつも「もう食べました」と断っていた。こちらとしては形式上、申し訳なさそうな感じで話しているのだが、相手の女の子はあっさりしたもので、「あ、そう」、と話題を変える。あとは、また店に来なさいとかそういう話。ロマンチック感はゼロだ。

 後で気付いたのだが、韓国では「ご飯食べた?」というのが、あいさつになっている。韓国に来ると、妙に食事に誘われると思っていたら、そういうカラクリだったのか……。

「ご飯食べた?」があいさつになっているのは、大人数で食事を取る習慣があるからだろう。ソウルのオフィスでは、いつも10人以上でゾロゾロと食事に出る。昼食は、近くの食堂でチゲ(鍋)をつついたり、ペッパン(白飯)と呼ばれる定食を食べることも多い。入るなり惣菜の小皿が次々に出てくる。キムチがあって、海苔があって、モヤシの浅漬、イカとカキの塩辛、ウズラの煮卵、輪切りのソーセージなどが周りを固める。すごく華やかでテンションが揚がる。逆にこれを独りで食べるのはさびしいくらいだ。

 子供のころの鍵っ子体質が抜けず、独り飯が多かったので、韓国の飯習慣には戸惑ったが、次第に慣れていった。皆で食事をしていると、誰の体調が悪いとか、あいつは彼女ができて最近調子に乗ってるとか、そういうスタッフのコンディションが分かってくる。何より、ワイワイと話しながらの食事は楽しい。

 オフィスの近くに区役所があって、最近はそこの食堂にもよく行く。最初はスタッフが15人くらいの集団で行っていたので、そんなに美味いか安いの?、と思って付いて行ってみた。食堂に入った瞬間に納得。白衣に身を包んだ給仕の女の子がビックリするくらい可愛いいのだ。みんなその娘とひと言ふた言話すのを、実に楽しんでいる。その週のメニューを聞き出したり、差し入れに蜜柑をあげたり、話を延ばすのに様々な手段を駆使していた。

 大人数の食事はたしかに楽しいけれど、せめてそういうときは一人のほうがいいんじゃないだろうかと思った。


執筆:水島己(風待茶房 編集)
エディター/ゲームデザイナー。出張でスウェーデンのマルメに来ています。この季節、夜10時まで明るいのに感動。外で飲むビールがすごく爽やかです。


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  • 第21回大会テーマ「ROMANTICが止まらない」

「ROMANTICが止まらない」
作詞:松本隆
作曲:筒美京平
編曲:船山基紀・CCB
発売:1985/1/25


『乙女チックが止まらない』
執筆:竹村真奈


 1982年の結成当初、Coconut Boys(ココナッツ・ボーイズ)として活動していた渡辺英樹、笠浩二、関口誠人。後に米川英之、田口智治が加入し、その翌年にバンド名をC-C-Bに変更。1985年には、松本隆&筒美京平タッグによる『Romanticが止まらない』が誕生。


 1989年に出版された『C-C-B MEMORIAL 寝たふり』で、『Romantic―』のメインボーカルとして突然指名された笠はその大プレッシャーに、いくら練習しても歌詞が覚えられず、ノイローゼになりかけたと記されている。仮ボーカルの入ったテープを何千回、何万回と聴いたそうだ。それだけ、この曲にかけた熱い想いがあった。そんな中、TVドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系)の主題歌に抜擢され、「うっそぉおーっ!」とメンバーがうなるほどの売り上げを記録。このドラマ、性への好奇心で頭いっぱい胸いっぱいの高校生らが繰り広げるちょっぴりエッチな騒動に頭を抱える大人たちの絡みがたまらなく新鮮であった。男の子が股間に熱いものを感じたとき、♪ティンティロリン♪と効果音で可愛らしく表現するのも印象的である。話を戻して……『Romantic―』はこのドラマ人気に比例して、当時の超人気歌番組『ザ・ベストテン』(TBS系)でも第一位を獲得。さらに、番組の通算100曲目の1位ということでC-C-Bの人気を後押しするかのように盛大に祝福された。


 『C-C-B MEMORIAL 寝たふり』で、松本隆はこう語っている。「『Romantic―』があんなに売れるなんて思わなかったし、売れたあとでさえ、業界スズメたちが"あんなの一発屋だよ"って騒いでたからね。とりあえず、ぼくもくやしいからさ、めいっぱいこの野郎たちを応援してやろうと思っちゃってね。はっと気がついたら最後までつきあって、って気がする」と。そして、彼らは『Romantic―』後も続々ヒット曲を生み出し、"一発屋"で終わることはなかった。80年代ド真ん中に生きた彼らは、原色ブーム(C-C-B現象を私はそう呼んでいる)を巻き起こし、世の女性たちを魅了し続けたのだ。


 80年代を代表する名盤といえる『Romantic―』。曲が始まると飛ばしまくりのシンセ音が鳴り響く。冒頭からエロスを掻き立てるフレーズ。「♪長いキッスの途中で―」。歌詞は、男目線で描かれた一夜のメイクラブ。友達の領域(エリア)からはみだしてしまった関係。青いハイヒールを履いた女。女から遊びなの?と聞かれる状況。されど、男は胸が苦しくなるほどに女を愛してしまったことがわかる。男は言葉では答えずに抱いた手に力を込める。「愛している」と言葉にすることができないって? こ、これは! どう解釈しようとしても、行きつく先は禁断の恋。「♪壁のラジオ しぼって」とはホテルにあるラジオのことだろう。そうだ、これは不倫だ。男には妻がいるが、青いハイヒールを履いた女を愛してしまった。恋焦がれる想いを必死に押さえつける(女から見ると)ズルイ男の心理状態を表しているのだ。とてつもなく切ないオトナな恋。これは私なりの勝手な解釈ではあるが……。

 つまり、私が思うに当時20歳そこらのC-C-Bが歌うには、あまりに背伸びした歌詞であるということだ。そのギャップが現代でいう「萌え」要素を生みだし、甘く切ないラブソングとして大ヒットした所以なのではないだろうか。爆音で『Romanticが止まらない』を聴いていたら、また胸が苦しくなってきた……(恋の禁断症状)。


執筆:竹村真奈(タイムマシンラボ/ガーリー編集長)
1976年、高知生まれ。一人編集プロダクション・タイムマシンラボを設立。雑誌『Girlie』の編集長をしながら、単行本制作、編集、ライター、企画、プロデュースを中心に活動中。著書に『王子辞典』(太田出版)、『スーツ男子』(アスペクト)、『小さなお店、はじめました』(翔詠社)他多数。
■http://www.timemachinelabo.com/


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