『ハナチボの呪文』
執筆:永友聖也(キャプテンストライダム)

小学生の頃に、『ハナチボ』という魔法の言葉があった。
これを毎朝登校する前に玄関で唱えると忘れ物をしないというという呪文であるが、
まあなんの事は無い『ハンカチ・名札・チリ紙・帽子』の頭文字を取って並べただけの物だ。(『ティッシュ』では無くて『チリ紙』というのが泣かせるなあ)
魔法の言葉のわりにはあまりに生活感の出まくったアイテムが並んでいるがそれはさておき僕がこの呪文のおかげで小学校時代一度も忘れ物をしなかったかと言うと全然そんな事は無く、実際はしょっちゅうハンカチを忘れてはよくトイレの後に手をビショビショにしていた。
要するに毎朝『ハナチボの呪文』を唱える事そのものを忘れてしまう訳です。
この忘れ物の癖はいまだに直ってなくて、今でも買い物しようと町まで出かけたら財布を忘れていたりする。
車のボンネットの上に財布を置き忘れたまま走り出してしまった事もあった。
他にもライブ会場や練習スタジオに向かう時に何だか今日はやけに荷物が少ないなーなんて思ってよくよく考えてみるとギターを持っていなかったりする事がたまにある。
そんな馬鹿な、と思われるかも知れないが実際にあるのだから仕方ない。
いくら何でもそれじゃあ何の為に目的地へ向かっているんだという話でさすがにそういう時はちょっとショックなのだが、よし、これからはライブの日は玄関で『ギ!』と唱える事にしよう。(ギターの『ギ』ね)
しかし僕が知っている限りこの手の忘れ物の話でいちばん凄いのは、何と言ってもあの長嶋茂雄さんのエピソードだろう。
長嶋さんが最初に巨人軍の監督をしていた頃、当時小学生だった一茂氏を後楽園球場に連れて行った長嶋さん、球場に一茂氏を置き忘れて帰ってしまったらしいのだ。
その後球団関係者からの『監督、忘れ物ですよ』との自宅への電話で気付いたそうだが、うーん。
どこまで本当かは分からないがここまで行くと忘れ物が芸の域に達している希有な例だろう。
とはいえ忘れ物をエンターテインメントにまで高められる人はごく限られているしやっぱり周りにも迷惑を掛けたり何より自分が困るのでここはひとつ21世紀のハナチボの呪文を作らなければならないだろう。
現在、外出の際に必要な物は、えーっと手帳、ハンカチ、目薬、ノート、MDレコーダー、鉛筆、財布、こんなところだろうか。
頭文字を取って『テ・ハ・メ・ノ・M・エ・サ』。うわー覚えにくい。
この呪文を忘れないくらいならそもそも最初から忘れ物なんかしない気もするなあ。
執筆:永友聖也(キャプテンストライダム)
キャプテンストライダムのVOCAL&GUITAR担当。
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http://www.captain-a-gogo.com/